高宗千鶴さん

―― そろそろ大広間の工事も終わりが見えてきましたが、どうでしたか、この1年。
宗高 1年ですか。そんなに経った感じがしないですね。そっか。もう1年か。楽しい、っていうとちょっと違うかもしれませんが、工事を通じて見えてきたこともありますし、あと、学んだことも多かったですね。ウエブのほうで保存修理工事の記録も掲載しているんですけど、いままで見えなかった内側とか裏側を目の当たりにすると、そこに使われていた素材とか技術についても発見が多くて。あと、そういう建築的なことだけじゃなくて、自分がどんな場所で生きてきたのかもわかった気がしますし、自分が何を守っていくのかについても、理解が深まったと思います。
―― 昨年の取材のときには、今回の工事について「親しい人を1年間の留学に送り出す気持ちで楽しんでいる」とおっしゃっていましたが、その感覚は今も変わりませんか?
宗高 あ、言ってましたね、それ。うん、言ってました。今もその感覚は、あるにはあると思うんですけど、自分のほうが留学に行ったような気もします。留学っていうか、時間旅行みたいな。いま言ったみたいに、御花の歴史をたどる期間でもあったように思うんです。工事を行ったのは大広間ですけど、そこを中心に、もっと全体に通じる視点を得たような。て、大袈裟ですね。ただ、今回の工事は文化財を傷つけないよう注意しつつ、御花全体としては営業も行っているので、他の建物やお客様への配慮も忘れず、限られた時間とスペースの中で、どうやって作業を進めていくのか、もちろんそれを考えてくださるのはプロの方々なんですけど、私も、私なりに考えて、そうすると、いつのまにか、御花全体のことを考えてるんですね。歴史のこと、これからのこと、お客様のこと、スタッフのこと。って、同じこと言ってますか?
―― いえいえ。すごく、わかります。いまお話しされていることが、つまり、「変わらないために、生まれ変わります。」という意志にそのまま繋がってる、という印象を受けました。
宗高 そう、そうなんですよ。その言葉もですね、最初にコピーライターさんからいただいたときに、「これだ!」って思って、自分の気持ちにぴったりだったんですけど、でも、工事が進んでいくにつれて、「あ、こういうことだったんだ、私わかってなかったかも」って思う瞬間が、何回もあって。ねえ、不思議ですよね、言葉はそのまんまなのに、子どもが成長していくみたいに、その意味がぐんぐん増していって、工事もどんどん進んでいって、その一方で普段どおりの営業が行われていて、だけどスタッフのみんなもそれぞれに頭を使って、心を尽くして、御花を良い方向に変えていってくれて。いまも、だから、わくわくしてるんです。工事が完了して、生まれ変わった大広間から、また新しい御花を育てていくんだって。
―― 工事の途中でも、見学ツアーを開催されていますね。
宗高 だってもったいないじゃないですか。次にこんなの見れるの、きっと100年後ですよ。100年後。そう思うと、ほんと、もっとできることあるなって。だから、いまやっていること、これからやることは、この先の100年のための準備なんです。
―― そろそろ大広間の工事も終わりが見えてきましたが、どうでしたか、この1年。
宗高 1年ですか。そんなに経った感じがしないですね。そっか。もう1年か。楽しい、っていうとちょっと違うかもしれませんが、工事を通じて見えてきたこともありますし、あと、学んだことも多かったですね。ウエブのほうで保存修理工事の記録も掲載しているんですけど、いままで見えなかった内側とか裏側を目の当たりにすると、そこに使われていた素材とか技術についても発見が多くて。あと、そういう建築的なことだけじゃなくて、自分がどんな場所で生きてきたのかもわかった気がしますし、自分が何を守っていくのかについても、理解が深まったと思います。
―― 昨年の取材のときには、今回の工事について「親しい人を1年間の留学に送り出す気持ちで楽しんでいる」とおっしゃっていましたが、その感覚は今も変わりませんか?
宗高 あ、言ってましたね、それ。うん、言ってました。今もその感覚は、あるにはあると思うんですけど、自分のほうが留学に行ったような気もします。留学っていうか、時間旅行みたいな。いま言ったみたいに、御花の歴史をたどる期間でもあったように思うんです。工事を行ったのは大広間ですけど、そこを中心に、もっと全体に通じる視点を得たような。て、大袈裟ですね。ただ、今回の工事は文化財を傷つけないよう注意しつつ、御花全体としては営業も行っているので、他の建物やお客様への配慮も忘れず、限られた時間とスペースの中で、どうやって作業を進めていくのか、もちろんそれを考えてくださるのはプロの方々なんですけど、私も、私なりに考えて、そうすると、いつのまにか、御花全体のことを考えてるんですね。歴史のこと、これからのこと、お客様のこと、スタッフのこと。って、同じこと言ってますか?
―― いえいえ。すごく、わかります。いまお話しされていることが、つまり、「変わらないために、生まれ変わります。」という意志にそのまま繋がってる、という印象を受けました。
宗高 そう、そうなんですよ。その言葉もですね、最初にコピーライターさんからいただいたときに、「これだ!」って思って、自分の気持ちにぴったりだったんですけど、でも、工事が進んでいくにつれて、「あ、こういうことだったんだ、私わかってなかったかも」って思う瞬間が、何回もあって。ねえ、不思議ですよね、言葉はそのまんまなのに、子どもが成長していくみたいに、その意味がぐんぐん増していって、工事もどんどん進んでいって、その一方で普段どおりの営業が行われていて、だけどスタッフのみんなもそれぞれに頭を使って、心を尽くして、御花を良い方向に変えていってくれて。いまも、だから、わくわくしてるんです。工事が完了して、生まれ変わった大広間から、また新しい御花を育てていくんだって。
―― 工事の途中でも、見学ツアーを開催されていますね。
宗高 だってもったいないじゃないですか。次にこんなの見れるの、きっと100年後ですよ。100年後。そう思うと、ほんと、もっとできることあるなって。だから、いまやっていること、これからやることは、この先の100年のための準備なんです。