河村 | どうも、よろしくお願いします。 |
---|---|
―― | お忙しいところ、お時間を割いていただいてありがとうございます。 |
河村 | 取材なんて、慣れてないんで、どうも、うまく話せませんけど。 |
―― | どうぞ、緊張なさらずに。河村さんは総料理長でいらっしゃるとのことで、普段のお仕事としては具体的にどういったことを? |
河村 | いちばんの仕事は、味付けを一定に保つことです。 |
―― | ご自身で調理をされることは? |
河村 | いまは、ほとんどありません。味の監修という立場なので。 |
―― | 御花にはどれくらいお勤めですか? |
河村 | 十二年ほどになります。 |
―― | それ以前は? |
河村 | 福岡や長崎のホテルで、新規オープンの立ち上げに携わることが多かったです。 |
―― | 御花のように歴史ある施設とは違ったわけですね。 |
河村 | そうですね。先代の社長に誘っていただいて。こちらでの最初のミッションは、料理を一新することでした。 |
―― | 一新、というのは? |
河村 | 以前は柳川の郷土料理が中心で、いわゆる「普通の和食」が足りていなかったんです。 |
―― | 郷土料理というと、どじょうとか? |
河村 | ムツゴロウとかですね。そうしたメニューも大切ですが、たとえば、披露宴の席にお出しするラインナップとしては、ということもありまして。そういったところから、すこしずつ。 |
―― | 披露宴といえば、とても細かなオーダーにも応じていらっしゃるとか。 |
河村 | はい。試食から立ち会うようにしています。お客様、一組一組のご要望を直にうかがうのも、おもてなしのひとつですから。それから、日本料理は鮮度が大切ですから、私が自らパーティーの進行具合を確認して料理もすすめていくようにしています。 |
―― | 伝統を変えていくというのは、苦労もあったのでは? |
河村 | そうですね、だいたい、三年、かかりました。ただ……。 |
―― | ただ? |
河村 | 変えていったのは、伝統、かどうか。御花は料亭としての歴史も長くありますから、その誇りはそのままに、大切にしているつもりです。変わる、ということであれば、料理は、常に変化しています。お客様に寄り添って、味わいや盛り付けも変わっていきますし、季節ごとのメニューも、このごろはスタッフが頑張ってくれていますから。 |
―― | 新規立ち上げのホテルとは随分勝手が違ったでしょうが、できる、という自信はありましたか? |
河村 | 自信、ですか……。こちらに勤めさせていただく前に、当時の女将さんに面接を行ってもらったんです。そこで、すっぽん鍋を作って出しました。 |
―― | テスト、のようなものですか? |
河村 | まあ。 |
―― | どうでしたか、反応は? |
河村 | 女将さんは、当時で八十近くだったんですが、ずいぶん、おいしそうに食べていただいて。 |
―― | それで、やれるという手応えが? |
河村 | いやぁ……。ほっとしました。 |
河村 | どうも、よろしくお願いします。 |
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―― | お忙しいところ、お時間を割いていただいてありがとうございます。 |
河村 | 取材なんて、慣れてないんで、どうも、うまく話せませんけど。 |
―― | どうぞ、緊張なさらずに。河村さんは総料理長でいらっしゃるとのことで、普段のお仕事としては具体的にどういったことを? |
河村 | いちばんの仕事は、味付けを一定に保つことです。 |
―― | ご自身で調理をされることは? |
河村 | いまは、ほとんどありません。味の監修という立場なので。 |
―― | 御花にはどれくらいお勤めですか? |
河村 | 十二年ほどになります。 |
―― | それ以前は? |
河村 | 福岡や長崎のホテルで、新規オープンの立ち上げに携わることが多かったです。 |
―― | 御花のように歴史ある施設とは違ったわけですね。 |
河村 | そうですね。先代の社長に誘っていただいて。こちらでの最初のミッションは、料理を一新することでした。 |
―― | 一新、というのは? |
河村 | 以前は柳川の郷土料理が中心で、いわゆる「普通の和食」が足りていなかったんです。 |
―― | 郷土料理というと、どじょうとか? |
河村 | ムツゴロウとかですね。そうしたメニューも大切ですが、たとえば、披露宴の席にお出しするラインナップとしては、ということもありまして。そういったところから、すこしずつ。 |
―― | 披露宴といえば、とても細かなオーダーにも応じていらっしゃるとか。 |
河村 | はい。試食から立ち会うようにしています。お客様、一組一組のご要望を直にうかがうのも、おもてなしのひとつですから。それから、日本料理は鮮度が大切ですから、私が自らパーティーの進行具合を確認して料理もすすめていくようにしています。 |
―― | 伝統を変えていくというのは、苦労もあったのでは? |
河村 | そうですね、だいたい、三年、かかりました。ただ……。 |
―― | ただ? |
河村 | 変えていったのは、伝統、かどうか。御花は料亭としての歴史も長くありますから、その誇りはそのままに、大切にしているつもりです。変わる、ということであれば、料理は、常に変化しています。お客様に寄り添って、味わいや盛り付けも変わっていきますし、季節ごとのメニューも、このごろはスタッフが頑張ってくれていますから。 |
―― | 新規立ち上げのホテルとは随分勝手が違ったでしょうが、できる、という自信はありましたか? |
河村 | 自信、ですか……。こちらに勤めさせていただく前に、当時の女将さんに面接を行ってもらったんです。そこで、すっぽん鍋を作って出しました。 |
―― | テスト、のようなものですか? |
河村 | まあ。 |
―― | どうでしたか、反応は? |
河村 | 女将さんは、当時で八十近くだったんですが、ずいぶん、おいしそうに食べていただいて。 |
―― | それで、やれるという手応えが? |
河村 | いやぁ……。ほっとしました。 |